ほんまかいな 58 歯のお話パートⅡ の②

ほんまかいな 58 歯のお話パートⅡ の②  

~波と共に去りぬ…~

以前ほんまかいなシリーズの・・・第4話で「逃げないで!私の歯」を掲載しました。

・・・高1の頃、全く無言で何の説明もなく前歯を切断され、術後鏡を見てビックリ・・・

それで「差し歯人生」を歩む事と相成った。

(詳細は、第4話を読みください)

さらにその歯でこんな事も…。

この事件当時は、西梅田の鍼灸院が立退きとなり、次ぎの店舗物件が思うように見つからず、

不動産屋さんに店舗探しを依頼するも、結果数年間はある紹介により整骨院の助手をしていた頃だった。

(…この先生とは、後に大親友となる)

夏真っ盛り。院のスタッフ達と若い女性患者さんグループ達で、

鳥取へ海水浴の日帰り海水浴に行こうという事にあいなった。 

ところが、その数日前から台風が発生、進路予想がどんどん鳥取に焦点を合わしてきた…

そしてついにドンピシャに鳥取の海水浴場が通過点に…。

心配になったスタッフが深刻な顔でいう

”くれい先生、雨と強風ですよ、どうします~?” 

私は ”いやいや、大丈夫~大丈夫~!私はどこへ行っても晴れ男だから!”

 

とは言ったものの、内心少し不安。

さて当日、海岸に到着すると、雨は殆ど降っていない。

ただ、強風で舞い上がった砂が体に当たりかなり痛い、波も感動の大迫力。 

でも、遠浅なので沖に行かなければ…

それに、海の中に入れば暖かく感じる。

さて、海岸線に目をやると、さすがに人もまばら…

というより長い海岸を私達が独占状態。

こんな事はなかなか経験できない。(天の声=たしかに…)

しばらく波と戯れ、”さあ、もう帰ろうか~”という声が聞こえる。 

海はこんな状態だ…長居は無用だ。 

海からあがった体からは海水がしたたり落ちる…

裸足で砂浜を歩く感触は、とても気持ちが良いものだ。 

その時、院長が私に向かって唖然とした顔で言い放った。 

”くれいさん…歯は?” ”えっ?ハ~?” 

直後に”ハッ”と口の違和感に気づいた。 

なんと前歯が無くなっているではないか! 

さすがの男前も歯が無いと、どんな情けない顔になるか知っている。

特に今回は、ギャル達の前だ!このみっともなさこの上なし!

サッと口の前に手をかざし「オホホのポーズ」を選択。

これを男性がやるととても異様だが、しないよりまだマシだ。 

かくして私の歯は、「風と共に去りぬ」…ではなく「波と共に去っていった」

荒波に誘拐され、広大な日本海へ旅だって二度と戻らない。

この悲しみは、北朝鮮のあの事件を彷彿させる…。 

(くれいさん、おおげさ…!)

さてその後、オホホのポーズをした人を先頭にした一行は、

近くの温泉施設で海水を落とす。

”ああ・・・さっぱりした~やはり温泉はいいもんだ”

と、そこへ流れ来る「都はるみ」の曲。

♪さよ~なら さよな~ら 元気で~いいて~…♪

そのタイムリーな曲は「オホホ」の私にだけに語りかけていた。

(ジャジャじゃ~ん♪=ベートーベン)

 

こんな経験をする奴は、まずいない!

そして、これからもまずいない!

皆さんがこの先もしもだが・・・

鳥取の海水浴場に行き、砂遊びや潮干狩りなどをした際、

偶然貝殻と共に「さし歯」を見つけたら・・・

それは、おそらく数十年前の

「あの、くれいさんの歯」に違いない。

( AIがはじき出したその確率は95%… )

いつかあなたに、”これは、確か~あの時の~「くれいさん」の~”と…

そんな思いを馳せる・・・ドラマチックな出会いが…訪れるかも…?・・・ないか!

以上、実録「歯が無しの、お話」でした。